どうしても欲しい靴がある。
以前、掃除のバイトをしていた時に履いていた靴だ。
もう随分昔の話になるのだが、掃除のバイトをしていた。
当時はバイトを掛け持ちしていて、朝から晩まで、いや朝から朝まで働いていたこともあった。
肉体を酷使して、その対価を得ていた時期だ。
掃除のバイトをするにあたり、専用の靴を用意することを怠ったわたしは、お気に入りのスニーカーで職場に通っていた。
現場では特殊な薬剤(かなり強力なやつ)を使用するので、お気に入りのスニーカーは見事に汚れてしまった。
白い洗剤の跡は、擦っても擦っても落ちることはなかった。
つい最近まで、捨てられずに保存しておいたのだが、先日の掃除の際に勢い余って捨ててしまった。
捨てるとどうしても欲しくなる。
気になる。
忘れられない。
そして検索してみると、わたしのお気に入りのスニーカーがあったのだ。
次の給料が入ったら購入しよう。
今度は大切に使おう。